椿文様
いけ花に! きものに! 椿が咲いた
MOA山月光輪花とギャラリー「布有喜」の初のコラボレーションによる「いけ花ときもの」展覧会
椿は、 日本原産の常緑樹で、 群を抜いて種類が多くあります。 開花後に「花がポトリと落ちる」特徴から、不吉であると武士に嫌われ家紋に使われることは避け られてきた歴史があります。 しかし「木と春」の組み合わせが示すとおり、本来は、春の到来を告げる聖なる木として吉祥の意 味が込められています。ポトリと落ちる特徴は「散るまで身を崩さない美しさ」を人生にたとえ、女性 の着物や小物では「死ぬ間際まで美しく綺麗でありたい」という女心を表したものでもあります。
展示の見所
いけ花は、自然で趣の違ういろいろな椿を展示しました。 また、きものは、椿づくしの手描き友禅や型染め、紬、袋帯など、選りすぐりの30点で構成しました。
中でも約20万粒が施された総絞りの振袖は圧巻です。振袖を埋め尽くす「匹田絞り」は、ベテ ラン職人でも1日3,000粒しかできないともいわれ、職人たちの費やした膨大な時間とこだわり が、シンプルな色使いと反物からはみ出すほどの大輪の椿によって、見事に表現された逸品です。 あまりに贅沢で豪華な染めの技法の為、たびたび奢侈(しゃし)禁止令を招いてしまった歴史を持つ 「絞り」ですが、いつの時代にも女性の心に憧れを抱かせます。
椿を使って森羅万象を凝縮させたいけ花と、女性を美しく際立たせる椿柄。いずれも控えめな中に趣 の違う色、形、質感などを散りばめて、凛とした「和の極み」を伝えました。
今までとは違う方々との出会い
新聞等の紹介もあり、「椿の花が大好き。」と着物好き以外の随分多くの方が足を運んでいただけました。
着物には、どんなふうに椿が描かれているか興味があったらしく、絵手紙、日本画、切り絵などされる方もいらっしゃいました。
灰色の地色に枝や葉が赤で、花は白く彩色なし、花芯が青色。その上に黄色で花粉の縮緬の着物などは、まるで絵画と違う色使いにびっくりされていました。また、切り絵をされる方は、大胆な絞りの振袖の前で「このデザイン、この色使いをした職人さんのパワーに圧倒されています。こうして、皆さんに見ていただけるようにここへ飾られることが、正に、すごいパワーを持っている証拠ですね」など、今までの展示会と違う感想をお聞きしました。
私自身いつも着物に対して、「仲間が一緒で寂しくないよ。皆さんに見てもらいたくてここへ来て下さった。見ていただけて幸せね」そんな気持ちで展示しています。
同じような思いの方々と出会うことができて、とてもうれしく思いました。
MОA山月光輪花 / 花とふれあう暮らしは、生活をより美しく豊かにしてくれます。 また、自然に優しい気持ちになり、観る人の心が癒され、笑顔が広がります。 私たちはそんな「美育」を目指して推進しています。(代表/宮川敏子)
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